クローン病

口から肛門まで全消化管のどこにでも起こりうる原因不明の慢性炎症性疾患です。小腸と大腸に多く、小腸型、小腸大腸型、大腸型があります。10~20代の若年者で下痢、腹痛、痔瘻(じろう)などの肛門病変、体重減少、発熱といった症状が見られます。日本でも食の欧米化により増加しており、罹患者数は25000人に達しました。

痔瘻(じろう)や皮(ひ)垂(すい)などの難治性肛門病変は腸管病変に先行して見られることがあり、肛門科で診断されることも多い疾患です。診断には、大腸内視鏡検査、胃内視鏡検査、時には小腸内視鏡検査が必要です。

治療は栄養療法が第一に行われ、糖分やたんぱく質を小さな分子まで分解したジュースを服用する成分栄養と脂肪制限をおこないます。薬物療法としてアミノサリチル酸製剤(ペンタサ、サラゾピリン)や免疫抑制薬、ステロイド、最近では中~重度の活動期患者や外瘻を有する方に抗TNFα抗体(レミケード)が使用され高い治療効果が報告されています。腸管が炎症のため狭くなりますと内視鏡的拡張術や外科手術が必要となります。22%が緩解維持し、25%が毎年活動期にあり、半数が緩解と活動期を繰り返しています。

クローン病のの年度別患者数の推移